Awareness.

久々のロングワークショップ。5日間の Canine Activity Holiday に参加してきました!
凛もいっしょですよ~。

講師の Sheila Harper氏は、カーミングシグナルのパイオニアとして知られる Turid Rugaas氏から直接学び、彼女のトレーニングメソッドを取り入れた第一人者です。
学びたい人の1人であったことはもちろんですが、

'Exploring your dog's natural abilities'

Many owners complain that their dogs never seem to be satisfied no matter how much they walk them, or that their dog is demanding even if they give him lots of attention. Then there are those dogs that tend to do their own thing when out, going hunting or chasing. Alternatively, what about those dogs that need rest or peace and quiet but where you feel they are under-stimulated?

We don't believe in quick fixes, but we may be able to help with some alternative canine activities that don't take a lot of effort, but that help your dog to learn more appropriate pastimes.

この説明を読んで、まさに凛と私にぴったりだ!と飛びつきました。
参加者はたった6人+アシスタントさん達、しかも全員50-60代、犬種もバラバラ(シェパード、スパニエル、スタッフィー、ボーダーテリア、ミックス、マラミュート、そしてジャック・ラッセル)というアットホームな雰囲気の5日感でした。

イギリスに来てから、様々なトレーナーさんのワークショップに顔を出している訳ですが、毎回感じることがあります。
極端に言うと、根本的な考え方や手法はそれ程変わらない。でも、そのバックグラウンドにある哲学というか、犬への理解の深さが違うということ。実際に参加することの意義はここにアリ。

ということで、今回は方法論うんぬんではなく、その背景にあるもの、について少し(?)書いてみようと思います。

What is 'a good dog'?
一昔前までのドッグトレーニングは、犬を指示に従わせるという考えが主流でした。
最近では、犬のボディランゲージを理解し、従わせるというよりも、良い行動をほめて強化して伸ばすという方法が主流になってきています。

それでも、まだまだ一般的には、お散歩で全く引っ張らずに横について歩く犬=良い犬、というイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。
これは前者の考えから来ているもの。大げさに聞こえるかもしれませんが、自由ににおいをかいだり、人や犬とあいさつしたり、時にはちょっとよそ見をする権利すら犬にはなかったりするのです。
そこまでトレーニングされた努力はすばらしいし、その結果生まれた絆はすばらしいと思うものの、もしその犬の顔が本当につまらなそうだったら、やっぱり私は何かが違うと感じるのです。
実際、無表情でトボトボ歩く犬を見かけると、そして周りの人がそれを「引っ張らなくていい子ね~」などとほめていると、悲しくなります。。

私がずっとかかえてきた疑問は、これでした。
犬が楽しくないお散歩なんて意味がない、でもお客様からのニーズや都会の環境を考えると、どうしても楽しさを封じるしか選択肢がないことも。お散歩はある程度我慢することが必要、その分自由時間はドッグランで、というのが私の妥協ラインになっていました。でも、やっぱり何かが違うというもやもや感がぬぐえなかった。

Sheilaのお散歩は、全く違う。
彼女のアラスカンマラミュートは、本当に自由に、そして楽しそうに歩きます。
トラッキングも得意なマラミュートです♪こういう犬種雑多な集まり、大好きです。

Full of demand

もちろん私も後者のやり方を学んできたつもりでしたが、イギリスに来て感じたのは、こちらのトレーナーさん達はもっと犬の感情を細やかにキャッチしているということ。

今回一番の気づきは、リードでつながれたお散歩が、いかにストレスフルかということ。
犬は、リードでぐいっと引っ張られなくても、ちょっとだけツンとリードが張っただけで、飼い主からの要求を感じるのです。それを意識して自分のお散歩を振り返ってみると、こっちいくよ、止まるよ、としょっちゅう何かを要求=コントロールしていることに気付きます。

私はぴったり横について歩かせるお散歩は好きでないので、こういった凛の気持ちは尊重して、ある程度は自由に前後左右行かせているつもりでした。でも、それは1.2mというリードの範囲内でのこと。都会で道路を歩くには、安全に歩くためにもちょうど良い長さですが、リードが張る回数をカウントするとしたら・・。
誤解のないように付け加えておきますが、凛はぐいぐい引っ張っている訳ではないんです。
でも、ちょっと気になる音がしたから振り返る、気になるにおいがあったからそっちに行ってみる、とちょっとだけフラフラしているだけのことなんです。

先ほどコントロールという言葉を使いましたが、これはリードでぐいっと引っ張って犬をコントロールすることを意味しているのではありません。どこに行くか、どれくらい止まるか、等々、短いリードのお散歩では、犬は自分で決めることができません。人間の方がコントロールしているんです。

ショートリードしか持ってきていなかった私は、初日に3mのロングリードをゆずっていただき、常にリードをゆるめたままにするという練習をしました。(凛じゃなくて、私の練習!)隣のおばちゃんのプレッシャーもあったのだけど ^^; 今回は言われたこと全部信じてまずはやってみようという気持ちでした。

実際、リードで一切コントロールしない(リードが一切はらない状態)ようにしてみて気付いたのは、凛の行動は私の対応の結果であるということ。
凛はテリアですから、においに一旦執着するとかなりしつこいです。満足するまで嗅がせることももちろんありますが、街中のお散歩でそれは無理。必然的に、リードを引いてそのにおいから引き離すということをしている訳です。
だから、凛は気になるにおいを見つけると、勢いよく飛びつき(時間が稼ぐため)、ちょっとでもリードがはると意固地になる(離されるのがわかっているから)。これがしみついているから、リードをゆるめていても同じようにリードに抵抗するような姿勢を見せるんです。
リードでコントロールすることの弊害を、実際にみて気づけるようになったのは大きかったです。

他の人のを見ているのも、本当におもしろかった。
スパニエルなど動きの速い子がトラッキングをしていた時のこと、10mのリードでも飼い主が追いつけなくてリードが張ってしまった時、犬はちゃんと正しい道を走っていたのに、リードがはったことで違うと言われたと思ってしまい、しばらく混乱するという場面も。

私達が思っている以上に、犬はとっても繊細です。

Don't control them. Give them right opportunities to make their own decision.

じゃあ、どうしたらよいか?

解決策の一つはノーリード。
もちろんTPOによりますが、大きな公園での散歩はノーリードの人がほとんどのイギリス。
文字通り、リードでの制約が一切ないので、行くのも戻るのも、犬の意志。

私もこちらで毎日ノーリード散歩をするようになって、大きな違いを感じました。
最初の頃、凛はどうしてよいかわからなかったのでしょう。ひたすらダッシュして、遠くへ消えて行きました。。。1年経ち、今は何の指示をしなくても、ある程度の距離が離れれば待っていたり、呼ばなくても戻ってきたり。まだまだイギリスの子達のようにはいかないけれど、私が指示をしたからやっているのではなく、すべて自分の意志で行動しているのがよくわかります。

子犬の時から、こうやって自分で考えながら散歩して育っている犬達は、本当に楽しそうに歩いています。


コッチ イッテミタイ!


ダイジョウブカナ・・


ドウ オモウ?

凛がわき道に入ろうとするのでそのままついていったのですが、途中まで行ったら何だか暗いし坂は急だし怖い雰囲気。凛もそう思ったかはわかりませんが、ここで止まり何か言いたげに振り返る。私もちょっと嫌だったので「帰ろうよ。」と言うと、駆け足で戻ってきました。
リードはずっとゆるんだままです。

行くのも帰るのも、凛の意志。

Balance is important

だからと言って、100%犬の意志にまかせて、という訳ではありません。
行ってほしくない時には、その場に立ってリードを止めることも。前述したように、ほんのちょっとリードがはっただけでも犬は気付き、止まってくれます。止まったらすぐにリードゆるめ、犬が冷静になって自分で考えることができる状況を作ります。
犬は止まる意志があるのに、それ以上行くのを恐れて飼い主が引っ張り続けるというのは、よくあるシチュエーション。これは逆効果です。
(詳しくはこちらの本をご参照ください。My Dog Pulls. What Do I Do?

私は、初日に大失敗しました。
凛は自分の意志で自由に探検、予め隠しておいたモノを見つけるはずが、その辺にまかれていた大量のドッグフードを見つけてしまい、、、、リードをゆるめる、リードをゆるめる、だけしか考えていなかった私は、止めそびれました。凛はOKと言われたと理解するでしょうから、その後戻すのが大変でした。。。

要はバランスなんです。
もちろん、ある程度の制約は必要です。落ちているものを食べちゃいけないとか、人や犬に向かって急にダッシュしちゃいけないとか。
でも、前述のように私達は知らず知らずの内に、常に犬の行動を制限してしまっていることに気付かなくてはなりません。

制約(飼い主のリクエストに応える) < 自由(犬が自分で決める)

となれば、犬だって楽しく過ごせますよね。
とはいえ、社会的なプレッシャーは影響大。自分の犬が引っ張ってたら恥ずかしいとか、近所の人に悪いから吠えさせちゃいけないとか、こういう精神的なプレッシャーの中では、

制約(飼い主のリクエストに応える) >>> 自由(犬が自分で決める)

となりがちなのではないでしょうか。
後述するように、リードを持つ人の技量ももちろんあるのですが、それと同時に、地域で考えられている Good dog の定義を少しずつ変えていくこと、近所の方へのトレーニング過程での理解を求めていくこと、なども、トレーナーとして進めていかなくてはいけないなぁ、と思います。

Two-way communication.
ちょっと話を戻しましょう。
長さはまちまちですが、今回は全員ロングリードをつけた状態でアクティビティを行いました。
決して、ノーリードの散歩を推奨している訳ではありません。むしろ、ノーリードにできない状況だって多々ありますし、一歩違えば、ノーリードでもお互い自由にしているだけの No communication なお散歩になってしまう可能性も。(実際に飼い主さんはずっと携帯を見ていて、時々ボールを投げるだけという人も見かけます。)

今回 Sheila が強調していたのは、絆を作るお散歩。
Social walk という言葉を使っていましたが、ただ歩くだけでなく、自分の落し物を探したり、というトラッキングを取り入れて、コミュニケーションを取りながら歩きます。

なるほどなぁと感動したのが、Two-way、つまりお互いにコミュニケーションがとれているかという点。この5日間では、犬が何を見ているのか、何のにおいをかいでいるのか、理解する所から始めました。
正直、においは同じレベルで嗅げないから、何を嗅いでるのかノーアイデアですが、「何見つけたの?」といっしょにのぞきこんでみる。
ただ話しかけるだけでは、実は一方通行。彼女が何をしているのか、本気で興味を持って、同じ視線で見てみると、何か違ったものが見えてきます。

そして、今度は私がにおいを嗅ぐ番。
いや、実際においは嗅ぎませんが ^^; 草をかきわけて何かを見つけたフリをしたり、実際に自分が見つけた葉っぱや石で遊ぶフリをしてみたり。犬が自分やっていることに興味を持つのを静かに待ちます。

とても不思議な気持ちになりました。
凛は割と意固地になるタイプなので、自分が行きたくない時にこっち行こうよと言っても、折れません。でも、私が彼女が嗅ぐ場所にいっしょに興味を持つことで、心の満足度が上がったのでしょうか。私が何かを探していると、ナニナニ~と飛んできていっしょに探すように。
そういえば、観光地に行って私が景色を眺めている時、凛は自分が見えない塀の外を見たがります。これも同じですね、私が何を見てるのか気になるのでしょう(自分が見れないのがくやしいのと。)。
ずーっとこちらを凝視するタイプではありませんが、見てないようで見てるんですね。

What is dog's natural ability?
What is your dog's strenghth?

Dog's natura ability。このワークショップのテーマの一つ。
特に注目すべきは、やはり臭覚です。先ほど、犬が何をしているかいっしょにのぞいてみる、と書きましたが、正直においに関しては見当もつきません!

いや、わかっていないということを自覚する所から始めましょう。
犬が必死ににおいをかいでいる時、人間の感覚で見てしまうと、「何もないじゃない、行こうよ。」とか「時間がないから先行こうよ。」となる訳です。
逆もしかり、先ほど書いたように、私が何かを見つけたフリをして犬の気を引く、ということをやった訳ですが、実際に「わー、こんなきれいな花があるよー。」と凛に見せようと思っても、凛にっては「何もないじゃん。」となるわけですな。実際、何度も「なーんだ。つまんないよ。」とすぐふられました TT。

ちょっとこの写真を見てみましょう。
私のにおいがついた松ぼっくりを探すゲームをしています。


おぉ、よく見つけたね!


と思ったら、気になったのはすぐ隣の何かのにおいでした。

つい私達は「人間の感覚」で見てしまうから、見えない何かに反応している犬の気持ちには気付きにくい。きれいな景色を見た時につい、「ほら、きれいだよ、見てみなよー」などと犬に話しかけてしまう私ですが、犬は景色そっちのけで、地面をくんくんしている訳です。

でも、もちろん松ぼっくりも嗅ぎ当てているんです。
一つ目の写真はコンマ1秒、通り過ぎただけ。でも、その一瞬でちゃんと確認しています。
「見つけたよ~」としっぽをふって喜んでいる時だけが見つけた時じゃないんです。
ここで、「ほらほら~、松ぼっくりここだよ~」なんて、もう一度においを嗅ぐのを強制なんてしちゃったら、、、犬にしたら迷惑な話。「知ってるよ、さっき嗅いだってばさ。」

「人が期待する反応」を必ずしもする訳じゃない。
私達が無意識に抱いてしまう「こうあってほしい」というイメージを捨てることが、とても大切だと感じました。頭をまっさらにして、犬が何を見ているのか、何を嗅いでいるのか、理解する努力が大切です。


地面のにおいを嗅いでいます。


こちらは空中のにおいを嗅いでいます。

トラッキングも体験させてもらったのですが、他の人のポーチをやぶの中から探した時、凛はちゃんと地面ににおいをかいでその人の通った道をたどっていました。その人が曲がった場所でにおいを見失った時は空中をくんくんして、ちゃんとまたトラックに戻っていったのです。
まだ初心者の凛は、途中で違うにおいに気を取られて違う道を行ってしまうことがあるけれど、3年目の他の参加者の方は、1kmくらい離れた場所でも、ちゃんと見つけて帰るんですよ!Amazing!!
そして、見つけた時の犬たちの得意気な顔といったら、笑っちゃうくらいかわいいです♪

そして最も感動したのが、アシスタントさんのボーダーコリー。
彼女は生まれつき目が見えないのですが、鼻を頼りに完璧なトラッキング。普段のお散歩でも、堂々と自由に歩いていて、盲目だと言われるまで気づかなかった程!

本当に犬のにおいの世界は想像がつきません。

犬といっしょに暮らす中で、本当は指示なんてなくてもお互いの要求は伝わるはず。
でもドッグトレーナーの仕事はそれを教えることがメインの一つになってしまっている、とトレーニングメニューと日常生活のギャップを感じるという話をしたら、Sheilaはうれしそうにうなずいてくれました。
そういえば、今回の5日間では、指示の言葉は本当に一切使わなかった。

「何かを教える」という視点から、「理解する」という視点に立ちかえれた、貴重な経験になりました。

長々と書いていますが、これでもダイジェスト。。。
講師の方を始め、皆さんの犬の気持ちへの理解の深さに感動したこの5日間で、ずっとつかえていた何かがほぐれてきたような気分です。うまくお伝えできたかわかりませんが、いつもながら自分へのメモということでお許しくださいませ。

Comments(2)

  1. グラッセ

    こんにちは!
    最近訪れていなかったもので、大急ぎでここまで目を通したため全部読みきれてないのですが、まるで自分の散歩を指摘されているかのようにドキドキしてます。
    コミュミケーションを目的としたお散歩、私も実践してみたいと思います。ニオイをかいでいるものを覗いて見る、自分も何かを見つけてワンコに興味を持ってもらう、単純なことですが、知らず知らずのうちにお互いが自由に歩くだけの散歩になっていたかもしれないな~、って再認識しました。話しかけてもじつは一方通行かも!そうですね、もっと近づいてほしいかもしれないですよね。とても勉強になります。

  2. こんな長いblogを読んでいただけて、感激です~♪
    私の散歩もそうでしたよ、そして未だにそんな場面は多々あり、、でも、ずっと彼女が何を嗅いでるのか気にしてみていると、何のにおいかわかってくるように。最近は、あぁ他の犬のにおいね、とか、ベリーのにおいね、とか、ちょっとだけ予想できるようになってきました。そして、いかに今まで彼女のやりたいことを無視していたか、に気付けたことが一番大きいです!
    犬の世界に一歩踏み込めたかな~。

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