日本からイギリスの犬事情を見た時、私にとっては夢のような理想のような世界に思えました。
でも、こちらで様々な立場の方から話を聞く機会を得て、まだまだ発展途上な部分も見えてきました。
今回は、すばらしい部分と、まだまだな部分、両方ご紹介できたらと思います。

Battersea Dogs & Cats Home の Old Windsor のオープンデーで、施設を見学してきました。


立派なレセプションには、どのようにRehomingを行うか、手順が書いてあります。
1.申込書を記入
2.自由に見て回る
3.スタッフからインタビューを受ける

引き取りが決まった場合、犬は£95、猫は£65、かかります。
これには、マイクロチップ、ワクチンやノミダニ防止薬、迷子札などの料金が含まれています。


施設は、Cattery(猫用のスペース)、Kennel(犬用のスペース)にわかれています。
Chihuahua, Mexico 5,540miles
Labrador, Canada 3,121miles
というのが、何ともおちゃめ♪


こちらが Cattery の内部。
写真OKかわからなかったのですが、、こっそり1枚だけ撮らせていただきました。。
見学は自由ですが、シャイな猫の隠れ家になるように、うまくハウスやブランケットを使っていました。そういった顔を見せない猫達のために、スタッフが普段の様子などを書いて張ってありました。


外から見た様子。階段やスロープがあって、うまく楽しめるようになっています。
まぁ、ほとんどの子が寝ていたけれど。


こちらが Kennel。
中は犬のストレスを考えて、撮影禁止です。
建物はおしゃれな感じですが、中はBatterseaにある施設とほぼ同じ作りで、古い感じ。


基本的には、一畳程の室内スペースと同じくらいの室外スペースにわかれています。
外から見るとこんな感じで、空しか見えないのがちょっと残念。
外の動きや音に反応する犬に配慮したのかもしれませんが、薄暗く牢屋のような感じで、個人的には外が見れるようにしたらよいのに、と感じます。
外の空気を感じて、外を通る鳥や人に会うのも良い刺激の一つだと思うのですが・・。

この日会った犬は、どの子も本当にフレンドリーで、ついその愛きょうの良さに立ち止ってしまう程。その裏には、知らない人にストレスを受けやすい子は別の場所に避難させておくという配慮もありました。

以前にロンドンのBatterseaの施設を見た時、あまりに吠えてくる犬が多いので、自由に見学できるのもいかがなものかと思っていました。見学者が来る度に、その子の吠えや攻撃性の問題は悪化していくだけなのですよ。オープンデーだからではなく、普段も同じようにしたらよいのになぁ、と思わずにはいられません。
4月に Dogs Trust でのワークショップで、私が行く3日前にレスキューされたばかりの犬のトレーニングをしたのですが、施設にいることで問題が悪化していく様子を間のあたりにし、少し疑問を持つようになりました。


批判はしたくありません、もちろん施設の皆さんもわかっているのです!
Foster=一時預かりの募集は常に行っており、こんな風に一般の家庭にいることで、リラックスして本来の姿を見せてくれる、だから新しい家庭も見つかりやすい、というFoster募集のアピールもありました。
ちなみに、小さなレスキュー団体は、施設を一切持たず、一時預かりだけで運営している所がほとんどです。

ここOld Windsorには、92の犬用スペースがありますが、それでもスペースもスタッフも十分ではないのかもしれません。正直、内情はよくわかりませんが、先日ドッグウォーカーのお手伝いをさせていただいたGosiaはここでのボランティア経験もあり、問題点もいろいろと教えてくれました。

その中の一つが、すべての犬が救える訳ではないということ。
ご興味のある方は、ぜひ読んでみてください。(英語)
http://www.dailymail.co.uk/news/article-1270220/As-pet-hour-LIZ-JONES-asks-What-s-going-wrong-animal-loving-Britain.html

彼女はただ安楽死を批判するのではなく、アセスメントの方法の見直しを訴えています。
ドッグトレーナーという仕事上、トレーニングするのが難しい程、攻撃性が悪化しているケースがあることも知っていますが、でもそれは本当に本当にまれです。ほとんどの場合、トレーニングと普段の接し方で改善することは可能です。
彼女の話には、実際に現場で、救えるはずの「問題がある」と判定された犬達を見てきたからこそ、の説得力がありました。

Dogs Trust のホームページを見ると、一番上に 'We never destroy a healthy dog' というメッセージがあることに気付くかと思います。
痛みを伴う病気、回復の見込みがない病気、何らかの原因で安楽死という方法をとることは、ゼロではありません。ただし、「行動に問題がある」という理由での安楽死は絶対に行わないというポリシーです。Dogs Trust では、何らかの問題があってRehomingに適さない犬は、一生ここで飼われ、その子達のスポンサーとして寄付が集められます。

日本の施設がそうであるように、犬の総数を考えると、決してこれは簡単なことではありません。保護する側の施設の大きさ、ボランティアの数、そしてお金、どれも限りがあります。

それでも、それでも、、日本と大差ない数字には、正直驚きました!
こういったRehoming施設の運営の在り方について、考えさせられます。。。
※日本では、毎年引き取り数と処分数の数字が、都道府県毎に公表されています。→犬・ねこの引取り及び負傷動物の収容状況

Batterseaは今年150周年(というと、日本では江戸時代の終わりからあるということ!)。
この歴史の長さは大きいです。人々の中で、こういった施設から犬を譲り受けるということが完全に定着しています。
その一方、格差社会の世の中では、捨てる人も一向に減らない訳で。

そんな矛盾を感じ、Gosiaに「日本はどの国のスタイルをマネしていったらよいのか、正直迷っている。イギリスではない気がする。」という話をした所、ノルウェーの Turid Ruggas氏がレスキュードッグのトレーニングは経験がない、と言っていたという話を教えてくれました。ノルウェーにはオスロに1つあるだけで、レスキュー施設はあまりメジャーではないそうです。

何かここにヒントがあるような気がしました。

重いテーマになり、そして答えはここにはまだありませんが、、、安易に批判やマネをするのではなく、1人1人がどうしたらよいか考えるきっかけにしていただけたら幸いです。
もしよろしければ、皆さんのご意見をお伺いしたいです。お気軽にコメントくださいませ!

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