先日、とうとう抜歯してきましたよ。
ということで、ちょっと長くなりますが、7年前にさかのぼってのキロクです、、、
■ 凛1歳 :歯石がつきやすい体質なの??
思い起こせば、歯の勉強を始めたのが、凛が1歳の頃。
歯磨きが重要とは言われていたものの、ちゃんとは磨いておらず、
1歳を前にして既に歯石がべったりとついていたのでした。
これは、体質なんですよね。
特に小型犬は歯の大きさに対してあごが小さすぎ、食べ物カスが残りやすいこと。
そして、口の中のPHや唾液の量などによって、つきやすいつきにくいがあることを知りました。
つかない子は、高齢になっても全然つかないですからね。
■ 凛2歳 :歯石がつくことが問題なのではなく、歯肉炎が問題なのだ。
それから、歯科衛生士さんに出会って歯磨きの仕方を習い、モニターとして半年の間、写真を撮って経過をチェックしながら歯磨きを行いました。
歯石はスケーラーでガリガリやって取るものを思われがちですが、経験のある人でなければかえって歯を傷つける原因に。
歯磨きをきちんとして歯肉炎を治し、清潔に保つことで、歯石が自然にとれるのを実際に見たのは、貴重な経験でした。
トラブルの原因は、歯石自体じゃないんです!
(左が始める前、右が半年後。)
(写真ではわかりづらいですが、歯茎が赤く盛り上がって腫れているのがほとんどなくなり、その結果すき間ができて歯石もポロッと!)
■ 凛3歳 :勉強しなくては!
そんなこんなで歯科治療に興味を持ち始め、歯科で有名な獣医さんのセミナーなどを聴講し、随分と世間で言われていることにも間違いがあることを知りました。
骨やおもちゃをかじることで歯石がとれるというキャッチフレーズも多く見かけますが、犬は噛む力は強いものの、歯自体は柔らかく、固いものをかじることで歯が欠けてしまうケースは本当に多いんだそう。テニスボールなどでも削れるんです。
実際に、凛の臼歯も一部すり減っています。
恐らく、骨などを同じ場所でずっと噛み続けた結果なのだと思います。。。
■ 凛5歳 :歯肉炎から歯周病へ。。。
すっかりきれいになってきた歯に油断して、イギリスにいる間に忙しさのあまり歯磨きをさぼってしまい、、、、、気づいたら一部の歯がぐらつき始めたことに気づいた時はショックでショックで。あぁ、どうして、、、と自分を責めたものです。
歯肉炎は歯茎が腫れた状態で目に見えてわかりますが、それを放置することで、歯周ポケットで歯周病菌が繁殖し、歯肉や歯根をどんどん溶かします。
これが歯周病、歯がぐらついたり抜けてしまう原因なのです。
■ 凛6歳 :歯周病は進行する病気。
いったん溶けた歯茎や骨が元に戻ることはありません。進行していくばかりです。
それでも、全身麻酔下での治療は抵抗があったので、帰国後すぐに無麻酔で歯石だけはとってもらいましたが、後に考えれば問題を先送りしただけのこと。
無麻酔での治療は、表面的な歯石はある程度取れるものの、歯周ポケットの中まではきれいにできませんし、どれくらい進行しているものなのかもわかりません。
その後は歯磨きを怠らなかったおかげで、歯石がつくことはある程度防げましたが、それでも歯のぐらつきはだんだん進行していくことを感じました。
これは毎日チェックしている自分でなければ気づけないこと。自分では犬の口を開けさせて奥歯まできっちりチェックできますが、獣医さんに相談しても、犬歯などをぱっと見て、歯石がついていない=大丈夫という診断しかしないことに憤りを感じたのも正直な所。
(ぱっと見はきれいですが、歯肉が後退し、歯の間にすき間が見えています)
■ 凛7歳 :抜歯という選択へ。
どうにもすっきりしないまま、偶然見つけたのが歯科セミナー。
人間の歯科医と提携して、最先端の技術を犬の歯科治療にも取り入れようと研究を重ねている獣医さんが札幌にもいたのです!
今まであいまいだった歯肉炎と歯周病の違いも学びました。
凛の場合は、明らかに歯周病によって歯肉が溶けている状態で、今後進行すれば隣の歯やあごの骨にまで影響を及ぼしかねません。
今現在健康な歯、特に重要な犬歯や臼歯を残すためにも、既にダメになっている歯は抜いた方がよい、と決断できました。
自然に抜けるまで待っていては遅いんです!
実際に、上の歯の歯周ポケットから鼻腔まで貫通してしまうケースや、下の歯とあごの骨はほぼつながっているので、ここが弱くなることであごの骨の骨折なんていうこともあるそうです。
もっと怖いのが、ここから菌が入り込みやすくなっていることで、肝臓や腎臓の負担も増え、高齢になればなるほど内蔵疾患のリスクも。
歯周病はほうっておいてはいけない病気なんですね。。。
そして何よりも、犬自身が固いものやおもちゃを噛んでいる時に、痛みを感じるのかぱっと離すことが増えてきて、これではいけない!と思ったのです。
食べること、噛むこと、は生きていく基本ですから(涙)。
とはいえ、動いてしまう危険性から、どうしても全身麻酔が必要な犬の歯科治療。
麻酔には抵抗がありました。
ですが、技術も進んでいる昨今、経験豊富な先生と設備の元での麻酔による事故はほとんどありません。そして、高齢になれば麻酔によるリスクは高まりますので、やるならシニア期に入る前の今しかないと思ったのです。
できるだけ手術や投薬はせずに、過ごさせてあげたいという気持ちは今も変わりません。
手術によるリスクと、そのままにした時のリスクを天秤に考え、悩みに悩んだ末の結論でした。
■ そして手術が終わり・・・。
レントゲンを撮ってみないと、見えない部分でどこまで歯根が溶けてしまっているのか、隣の歯に影響を及ぼす可能性があるのかはわからないので、手術はおまかせでした。
先生の考えはセミナーでよく理解していましたし、どの歯がぐらついているかは自分で把握できていましたので、迷いはありませんでしたが、万が一、犬歯や臼歯を抜かなくてはいけない程重症だった場合は、事前にお電話をいただくことに。
結果は・・・
(歯抜け〜。こんな狭い所に3本生えていること自体、無理があったのね。。。)
下の前歯3本と上の奥歯1本、抜歯。
抜いた後には、現在人間の歯科治療で研究中という生体由来のコラーゲン(?)を挿入し、骨の再生を促します。
抜いたのは小さい歯ばかり、私の予想よりもずっと少なくて済みました。何よりもその他は歯根もしっかりしていて全く問題ない!とわかったことがうれしい〜 (*^^*)
先生もとっても犬のことを考えてくださる方で、何とか残せないかと、最初は抜かずに処置をしてみた歯もあったのだそう。それでも、やはり歯周ポケットの中の汚れがかなりあり、残しても結局は菌が繁殖するだけという判断で抜歯したそうです。
注射針を刺すために、両足の一部にバリカンかけたことも気にしてくだって(それ程目立たないんですけどね)、、、こういう気遣いって本当にうれしいですね。
(ナニカ? いえいえ、かわいさに変わりはありませんので、ご心配なく ^^;)
今回手術に踏み切って感じたのは、まずは正しい知識を身につけること。
そして、納得いくまで獣医さんと話し合うこと。
ある程度の予測はできても、麻酔をかけてきちんと検査をしなければわからないこともあります。検査のためだけに麻酔をする訳にもいかないですからね。
当日は「先生にすべておまかせします」、終わった後も「先生がそう判断したなら間違いない」と言える所まできちんと話し合うことが大切だなぁ、と思いました。
技術も日々進みますし、何が正解かはわかりませんが、少なくとも今私は何の後悔もありません。
凛も、さすがに当日はふらついたり、痛みに涙を浮かべていましたが(泣)、
それでもバクバク元気にごはんを食べていたのはさすがです。
動物の生命力ってすごいな〜。
(3日目にはこんなにリラックス。毛艶も復活、回復しつつあります♪)
(痛みやストレスを感じると丸まる、リラックスすれば伸びる、は犬も同じですね。)
そして、獣医さんに言われたのが、「日常のケアができるかどうかによって判断が変わる」ということ。
さぼっていた時期があったことで歯周病を悪化させてしまったとはいえ、今は歯磨きを徹底し、現に歯石自体はほとんどない状態だったので、先生にほめられました♪
奥歯まできちんとチェックできていることも、評価してくれましたよ。
万が一歯周病が少し進行していても何とか残せそうという歯があった時、家で継続してケアができるかどうかが判断の分かれ目。
ケアが不十分であれば、間違いなく短期間で悪化するのは目に見えていますので、抜歯した方がいいという判断になりますが、ケアができるのであれば、残せる可能性が出てくる、と。
そうですよね。。。
体のどこでも触らせてくれること、日常的にスキンシップをとっていることが、病気の早期発見につながります。
そして、治療の内容まで変わってくるのだなぁ、と改めて思った一言でした。
長くなりましたが、ざっくりと凛の今までの経緯でした。
歯磨きのモニターなど、ブログには書いていないこともあったので、いつもながら自分のための記録ということで、お許しください ^^;
食べることは生きること。
最後の1日までおいしいものを食べられる、元気なシニア犬を目指そうねっ♪
※ 追記
同じ治療をオススメするものではありませんこと、ご了承ください。
今現在どのような状態なのか、そして年齢や病歴、アレルギー反応の有無などなど、その子によってどんな治療がベストなのかは変わります。治療の方法も、様々です。
治療のメリット、手術のリスクをきちんと理解した上で、信頼のおける獣医さんと相談して決めてくださいね。
ただし、一つだけはっきり言えるとしたら、「予防に勝る治療なし」。
日頃のケアが一番大切です!
Had teeth out…..
2012.6.21
こんにちは^^
すごく参考になりました。
セミナー等もあるんですね
探してみたいと思います!
グリップさん、お久しぶりです!
あくまでもうちの場合、ですのでご参照程度ではありますが、体験談の一つとして見ていただけたらうれしいです (^^)
グリップさんは関東在住ですか?日本臨床獣医学フォーラム年次大会(http://jbvp.org/forum/)に行かれたことはありますか?
獣医さん向けの専門的なものから一般市民向けのものまで多岐に渡って開催され、自分の知識に合わせてチョイスして受けることができますので、オススメです。何と言っても、その分野のスペシャリストばかりなので、勉強になりました。私も久しぶりに聞きに行きたいなぁ。
最近は歯についてのセミナーが増えているようですが、商品の宣伝のためのメーカー主催のものだったり、内容には?を感じ得ないものもあるんですよね。。。
ご注意を〜
ずいぶん以前にコメントさせてもらったことがありますが、ほとんど盗み読みな感じで・・・(^^; 失礼しています。
今回の記事、まさにタイムリーでとても参考になりました。ありがとうございました。
もうすぐ7歳になる♂ジャックと暮していますが、凛ちゃんと同じように下の前歯がだいぶん前からぐらつき始め、抜歯は避けたいと歯磨きを徹底してましたが歯ぐきも後退してきて、どうしようかと自分を責めつつかなり悩んでたところでした。やっぱり良くはなっていかないこともこのブログで再確認できましたし、抜歯の方向で動物病院の先生に相談しようと思います。
ただ、私が住む北陸は歯科に強い先生がいないのが少々不安ですが・・・。ほんとに参考になりました。
凛ちゃんの笑顔に癒され、いろいろと勉強させてもらってます。
kunnyさん、こんにちは!
少しでも参考にしていただけたら、うれしいです♪
そして、同じ歯ですね。。
どうぞ、ご自身を責めないで (>_<) お気持ちは痛い程わかります。でも、体質もありますので、どんなにケアをしてもなってしまうんだと思うんです。犬達は過去を悔やむよりも、今が大事。早く気づけてよかった!と思って、わんこといっしょに明るく頑張りましょうね♪
歯磨きで菌の繁殖を抑えることで、進行を遅らせることはできると思うのですが、「改善」までは難しいのだと思います。あくまでもこれは凛の体験談ですので、必ず先生のご指示をあおいでくださいね。(大学の獣医学科の勉強には歯科がないので、皆さんほぼ独学なのだそうです。。。専門でなくても、勉強されていらっしゃる先生が見つかるとよいですね!)
お互い元気でハッピーなシニア犬育てに向けて♪
p.s. 盗み読みだなんて関係ないですよ〜、義務じゃないんだし(笑)気が向いた時にまたコメントいただけたらうれしいです♪
orieさん、ご返事ありがとうございました。
ほんとに自分を責めていたので、とても元気が出ました。
6歳を過ぎた辺りから歯ももちろんですが、目の周りも白い毛が目立ち始めて、シニアに片足突っ込んでるんだな~と気づき始め、そう分かっていても愛犬の変化に自分の気持ちがついていかない時もあって、ちょっぴり落ち込んだりして・・・。
でも、ますます愛おしくって・・・(笑)
犬達は今が大事。。。
そうですよね!
このブログは、ほんとに前向きに行こう!と思い直させてくれるんですよ。私も元気でハッピーなシニア犬育てを楽しみたいと思います!
更新楽しみにしています。
また、凛ちゃんの笑顔に会いに来ますね。
ありがとうございました。
初めまして。
私は6歳トイプーのママで、愛犬の歯周病で悩んでいて調べてこのブログにたどり着きました。
このブログを読ませて頂いて、手術に向けての様々な葛藤と戦い、これからに向けての力強いメッセージに感動しました。
今とっても健康になってリラックスして寝ている凛ちゃんの姿にとても癒されますね(*^◯^*)
私は東京在住なんですが、なかなか良い歯科医がいなくてどこがいいのかわからなくなって。。。
凛ちゃんが通っていた歯科医はとても親切で良さそうだなと思ったんですが、教えて頂くことは可能でしょうか??
ナイトさん、はじめまして。
あくまでも「凛の場合は」ではありますが、少しでもご参考にしていただけたらうれしいです(^^)
ご質問は、歯科衛生士さんの方でしょうか?彼女は人間の歯科衛生士で、犬に関しては個人的な活動でしたので、ご了承くださいませ。
獣医さんの方は、現在は札幌在住なので最近の東京の獣医さん事情はよくわからず、、、よく歯科セミナーの講師をされているとだ動物病院くらいしかわかりません。他にも歯科に強い先生はいらっしゃるかと思いますので、ぜひ検索してみてくださいね。
ただ、、、後悔はないと書いたこの数日後、凛は手術前後の何かが原因で大病を患ってしまいました。(麻酔ではないと思います。薬のどれかなのか、全体的に受けた負担なのか、元々持っていた要素なのか、正直なところ何が原因かはわかりません。)
後悔しても仕方ないので、今となっては前向きにとらえていますが、今でも健康とはいえない状態ですし、一時は命が危ぶまれる日々が続いたことも付け加えておかなくてはいけませんね。。(病気のことについてはあまり誤解も生みたくないので、ブログには書かないことにしました。)
近年は技術が進み、手術の安全性もかなり向上していると聞いています。そうは言っても、犬が受ける負担が大きいことは確かですので、我が家のような例がゼロではないことも事実。
歯周病の進行度によっても判断は変わると思いますし、ぜひ信頼できる獣医さんと相談しながら、ご検討くださいね!